277人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
彼のドルチェに対する真摯な気持ちがストレートに伝わってきて、私もそれに真摯に対応しなきゃ…って、そう思った。
遠慮がちに口を開く。
「ショコラの黒とピスタチオのグリーンって、合わさるとちょっと和菓子っぽいってゆーか」
「……………」
「女子ってすごく見た目の可愛さにもこだわるんだよね。クリスマスに出すドルチェなら、赤とかのアクセントがあったりしたら随分印象変わるかも……」
言っているうちにやっぱりすごく自分が生意気な気がして、段々と声が小さくなっていくのがわかった。
忍くんの顔がみるみる険しくなっていくのも、目に入ったから。
私が食べ終わった後の空いたお皿を見つめ、忍くんは口元に手を置いて、うーんと低く唸った。
「見た目の可愛さ…か。───やっぱりそこだよなぁ」
「……………」
「俺、先輩にずっと言われてんだ。味は文句なしなのに、盛り付けのセンスがないって。……それってドルチェ作るうえで致命的だ…って」
はあ~っと忍くんは大きな溜め息をつく。
いつもは感情をあまり表に出さない人だけど、この時はわかりやすく落ち込んでいるように見えた。
最初のコメントを投稿しよう!