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「俺、LINEやらないから」
「……………」
ケロリと言い切られて、今度は私が目を丸くする。
えー…っと。
これってもしかして……やんわりと拒否られたってことなのか、な。
連絡先交換を断られるとは思わず軽くショックを受ける私の前で、忍くんは上着のポケットに手を突っ込んだ。
「俺、これだから」
彼がポケットから取り出した物を見て、私は目を見張る。
忍くんが手にしていたのは、今や見かける機会も少なくなったガラケーだった。
「……………」
思わず彼の顔とガラケーを交互に見比べる。
つまり……ガラケーだからLINE自体をやってないって……そういうこと?
迷惑だから断られたんじゃないとわかって、私はホッと肩で息をついた。
それと同時に、何だかそれがすごく彼らしくて、ついクスッと笑ってしまった。
「ガラケーでも、やり取りだけなら出来るよ?」
「いい、別に。あれってメール読んだとか読んでないとか相手にわかるんだろ? そういうのすごいメンドクサイから」
本当にめんどくさそうに、忍くんはそう言った。
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