tre-2

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「────ねぇ、忍くん」 声をかけると、未だ携帯と格闘していた忍くんは、画面を見つめたまま「ん?」と答えた。 私は彼の指をじっと見つめながら、口を開いた。 「今度、マニキュア塗らせてくれない?」 自分でも唐突な申し出だという自覚はあったけど、忍くんにとってもかなりの珍発言だったらしい。 さすがに携帯を触る手を止めて、びっくりしたように私の顔を見下ろした。 「…………はっ?」 「マニキュア、塗らせてくれない?」 「え、何? 誰に?」 「忍くんの指に」 「……………」 「いや、すっごくキレイな指だなー…と思って」 忍くんは眉をひそめ、自分の手を広げてじっとそれに見入った。 「別に……普通だと思うけど」 怪訝そうな顔で、忍くんは首を傾げる。 彼女とかに、言われたことないのかな。 もし私が彼女なら、この指に毎日触れたいし……触れてほしいって思いそう。  
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