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「食べに来たら? うちのパスタ旨いよ?」
サラッと言われて、私はびっくりする。
あんまり簡単に言うので、思わず苦笑が漏れた。
「そりゃ美味しいのはわかってるけど…。あんな高級レストランなかなか行けないし。……それに、やっぱりカップルが多いんでしょ?」
「別にそんなことないよ。ランチとかだったら値段も下がるし、割りと女の人のグループ多いよ」
………そっか、ランチか。
ランチぐらいなら、今度奮発してハラちゃんと行ってみようかな。
美味しいパスタ食べたいし……忍くんのドルチェをお店でも食べてみたい。
「……………」
私はチラッと忍くんの横顔を見上げる。
『カップル』という単語が出てきて、再びハラちゃんとの会話を思い出してしまった。
今なら……それとなく聞いてみても大丈夫、かな……。
ちょっと緊張してきて、私は一度ふうっと息を吐き出した。
「………ねぇ、忍くん」
「ん?」
「忍くんて……彼女、いるの?」
「────え……」
忍くんは、びっくりしたように歩く足を止めてしまった。
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