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私は慌ててブンブンと右手を左右に振った。
「いや、だって、ほら…っ。もし彼女いるなら、私が毎週家に行ったりしたらマズイんじゃないかなー…と」
「……………」
「は、鉢合わせとかになっても困るし……」
ゴニョゴニョと口ごもりながらもっともらしいことを言うと、忍くんは「ああ……」と呟いて、止めていた足を再び動かし始めた。
「いないよ」
非常に簡潔に。
結論だけを、忍くんはサラリと答えた。
ある程度予想通りの答えだったとはいえ、はっきりそう断言されたことで私は妙にホッとしてしまった。
そりゃそうだよね……。
いくら忍くんがボーッとしてるとはいえ、彼女いるのに毎週他の女を自宅に呼んだりしないよね。
────全くもう。ハラちゃんが必要以上にビビらせるから……。
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