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「……………」
“あれから”というのが、透さんが亡くなってからということを指すのだと、すぐにわかった。
咄嗟に嘘もつけなくて、私は唇を噛み締めながら頷いた。
「────うん……」
返事をした瞬間、忍くんの目がほんの少し鋭さを帯びた気がした。
ポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりとこちらに体ごと向き直る。
「なんで?」
「……………」
追及するような忍くんの声に、私はすっかり気圧されてしまった。
再会した日。
7年前のことを、自分のせいだと思っていつまでも引きずっているならムカつくって、ハッキリそう言い切った忍くんに。
もう自分は一生恋愛する気がないなんて……言えるはずもなかった。
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