tre-2

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私はパッと顔を上げ、お得意の『作り笑顔』を忍くんに向けた。 「なんで…って、25の女性にそんなこと聞くの、超失礼だよ、忍くん」 「……………」 「職場での出会いはないし、合コン行ってもさっぱりモテないし。……情けないけど、気が付いたらずっと一人って感じ」 へらへらっと笑って誤魔化すと、忍くんはしばらく私の顔を見つめた後、納得のいかない様子でフイッと横を向いてしまった。 「………ふぅん」 気のない相槌を打ち、踵を返して再び歩き始める。 慌てて私はその後を追った。 横に並んだと同時にマンションが見えてきて、その瞬間ポツリと忍くんは口を開いた。 「兄貴に負い目を感じて恋愛しないなら、それは間違いだよ」  
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