第6話

cinque

木曜日。

いつもは夕方から取り掛かる晩御飯の準備だけど、この日は２時ぐらいからキッチンに立っていた。

お母さんの代わり、なんて言ったらおこがましいけど、ちゃんと栄養を取ってほしいなって思ってメニューを考えると、結構な品数になってしまったから。

忍くんに聞いたら、仕事のある日は夜の11時まで働いているらしい。

外食業界じゃ当たり前のことらしくて……それでも月に数回、夕方で帰られる日があるだけ自分は恵まれていると、忍くんは言っていた。

もちろん賄いでもきちんと栄養は取れてるんだろうけど、どうしてもイタリアンだけじゃ偏るだろうし。

やっぱりバランス的に考えても、和食が一番！だよね。

ということでいつも以上に気合いも入って、作り終えた時はもう夜の７時近くになってしまっていた。