第6話

cinque

(ヤッバイ。お母さん達帰ってきちゃう)

作ったものをタッパに詰めながら、私はソワソワと焦り始めていた。

ただでさえ最近何か物言いたげなのに……こんなところを見られたら、さすがに誰に持ってくんだって聞かれそう。

追及されても答えようがないし……。

「……………」

話したらきっと、お母さん達はハラちゃんみたいに反対する。

忍くんが、透さんの弟だってだけで……きっと。

いつか笑ってサラッと話せる日が来るといいけど、今はまださすがに無理かな。

(傘……持っていったほうがいいな……)

玄関を出たところで、私はふと空を見上げた。

予報では夕方から雨って言ってたけど、今はまだ降っていない。

────でも右足がじくじく痛むから、今から降ることは間違いなさそうだ。