cinque-2

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「…………は?」 「泊まっていったら……ダメ、かな」 探るように聞き、私は忍くんの様子を窺う。 忍くんはしばらくじっと私の顔に見入っていたけど、やがてハアッと大きな溜め息をついた。 「────ダメ」 キッパリと、忍くんはそう言った。 マニキュアを塗ることすらダメって言わなかった忍くんが、あんまりハッキリ『ダメ』って言ったので、私は意表を衝かれてしまった。 もうちょっと考え込むかな…って、思ったのに。 「………どうして?」 思わず問うと、忍くんはうっと言葉に詰まり。 口元を拳で隠して、フイと横を向いた。 「弟じゃないから」 「………………」 一瞬意味がわからなくて、私はポカンと忍くんを見つめる。 拳で半分隠れた彼の横顔は、うっすら紅潮していた。 弟じゃないから……って。 それって、自分は男だから…って、こと? 男だからってことは、要約するとつまり……。 間違いが起こるかもしれないって、こと……だよね。  
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