cinque-2

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「………いいの?」 少し離れた場所から、窺うような声がした。 「いいよ、もちろん」 「………ホントに? 気持ち悪くない?」 「気持ち悪くなんかないよ」 しつこいぐらいの念押しに、私はクッと吹き出す。 「私だって高校の時から忍くんの手キレイだなーって思ってて、それと同じことでしょ?」 「……………」 「そんなこと言ったらマニキュアまで塗らせてもらった私の方が、よっぽど気持ち悪いよ」 口にして改めて、男の人に無茶なお願いしたよなーって思う。 それに比べたら髪の毛触るぐらい、お返しにもならないよね。 「忍くんこそ、私のこと実はイタい女だなーって思ったんじゃない?」 「………そんなことないよ」 ぼんやり浮かんだ忍くんのシルエットが、わずかにこちらに向かって動いたのが見えた。 「むしろ……嬉しかったよ」 「え?」 「真白さんも、俺のこと見ててくれてたんだって」 ギッ、とソファーが軋む音が聞こえて、すぐ側に忍くんの気配を感じた。  
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