cinque-2

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「やっぱり……キレイだね」 耳元で忍くんの声がした。 私はうっすらと目を開く。 サラサラ…と彼の指が、私の髪を梳いていた。 何だか物凄く居心地が悪くて。 どんな体勢でいればいいのか急にわからなくなって。 私は膝を抱えて、体を小さく縮こまらせた。 「………別に。普通だよ」 恥ずかしさを誤魔化すように、少し笑いながら私は言った。 忍くんは何も答えない。 ただ黙って、指を動かす。 雷の音も、雨の音も、何故か全く聞こえなくなった。 代わりに聞こえるのは、うるさいぐらいの自分の動悸と。 彼の微かな息遣い。 「停電しててよかった……」 不意に彼が手を止めて、ポツリとそう呟いた。 私は目線をチラッと彼の方に向ける。 「………どうして?」 「だって……明るかったらこんなこと、絶対できなかった」 「……………」 「真白さんの顔見ながらこんなこと……絶対できねーよ」 引き絞るような、声だった。  
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