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その言葉をどう解釈していいかわからずに戸惑っていると。
トン、と忍くんが、私の肩に頭を預けてきた。
ドキッとして、また体が固く強張る。
甘い香りが、さっきよりもずっと強くなった。
リキュールを一気に煽ったように、頭がクラクラする。
………どうしよう。
どうしよう、私。
何もかもが、おかしいよ。
「────真白さん。……俺さ」
おでこを私の肩に乗せ、顔を伏せたまま。
忍くんがおもむろに口を開いた。
私は無意識に息を止めてしまう。
何を……言おうとしてるんだろう。
怖いような……でも、聞きたいような。
複雑な感情が胸に押し寄せてくる。
忍くんの体が小さく動いて、直後大きな手が私の後頭部に触れた。
その手に引き寄せるような力がクッと入って。
────抱きしめられる、と。
私はとっさにそう思った。
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