cinque-2

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「………………」 抗わないでおこう、と。 怖がっていないで、流れに身を任せてみよう、と。 ゆっくりと体の力を抜いた、その時。 ────右膝に、激痛が走った。 「…………いっ……」 あまりにも突然痛みに襲われて、私はつい大声を出してしまった。 忍くんの体がビクッと震え、慌てて私から距離を取る。 「………真白さん?」 「…………っ」 「ごめん、俺……強く触った?」 忍くんの声が、聞いたこともないぐらいにオロオロしていた。 どうやら自分がどこか強く触ったことで、私に痛みを与えたのだと誤解したらしい。 私は膝に手を置きながら、力なく首を振った。 この暗闇で、その仕草が見えたかどうかはわからないけれど……。 「………違うの」 「え?」 「膝が痛くて……」 「────膝?」 暗闇の中で忍くんのシルエットが動き、訝しげな声が返ってきた。  
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