cinque-2

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暗闇の中、妙に明るい私の声がひどく浮いてしまっていた。 私は笑顔を収め、唇を噛み締めながら俯く。 しばらく何も答えないでいた忍くんが、やがて小さくふっと息を吐き出した。 「雨……結構小降りになってきたよね」 「………………」 「さすがにもう帰ったほうがいいよ。今日は俺、車出すから」 ギシッとソファーが軋んで、忍くんが立ち上がる気配がした。 彼の言葉を耳にし、私は目を見開いてバッと彼の顔を振り仰いだ。 「忍くん……車運転するの……!?」 私の剣幕にびっくりしたのか、忍くんは立ち上がったそのままの姿勢で立ち尽くした。 「そりゃ……運転ぐらいするよ。──そんないい車じゃないけど」 「……………!」 一際雨の音が、激しく鼓膜を打つ。 黒一色だった世界が急に真っ白になり、あの日の光景が突然フラッシュバックした。  
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