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フロントガラスを強く打ち付ける雨。
全開のワイパー。
猛スピードで向かってくる対向車のライト。
つんざくようなブレーキ音。
回る視界。
右足に走った、熱いほどの激痛。
────そして遠のく意識の中聞こえてきた、私の名を呼ぶ途切れ途切れの、彼の声……。
「……………ダメっ!!」
再び目の前が真っ暗になって、私は必死で手を伸ばして彼の姿を探した。
指先に彼の袖口が触れ、私は無我夢中でその腕にしがみついた。
止めなきゃ。
止めなきゃ。
────忍くんを、止めなきゃ。
「ダメ……! ダメ……!」
「ま、真白さん……?」
動揺と困惑の混ざったような声を発し、忍くんはまるで私に引っ張られるような形でボスッとソファーに腰を下ろした。
それでも私は彼の腕を離さず、ぎゅっとその腕に取り縋った。
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