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「こんな雨の日に運転したらダメ…!」
「……………」
「死んじゃう! 忍くん、死んじゃうよ!」
『死』という言葉を口にして。
忍くんが、私の前からいなくなってしまうと思って。
今日何回も堪えた涙が、とうとう堰を切ったように溢れ出した。
こんな日に運転したら、きっとまた事故が起きる。
あの日みたいに……きっとまた。
私のせいで忍くんまで死んじゃったら……今度こそ私は一生立ち直ることは出来ない。
今生きていることすら、罪のように思う時があるのに。
「────真白さん……」
いたわるような優しい声がしたかと思うと、忍くんの袖を掴む私の手を、彼がぎゅっと握りしめてきた。
「………死なないよ、俺は。……絶対に、事故なんか起こさない」
包み込むようにやんわりと私の手を握り、きっぱりと忍くんはそう言い切った。
私は顔を上げ、激しく首を振る。
「そんなの……わかんないじゃない!」
「────わかるよ」
「わかんないよ!!」
私の両目から、ボロボロと涙が零れ落ちた。
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