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今、忍くんが傍からいなくなるなんて考えられなくて。
想像しただけでも怖くて堪らなくなって……。
体の奥底から震えが沸き上がってきて、止まらなくなった。
「ずっと一緒にいようねって……透さん言ったけど……でも、いなくなっちゃった…っ」
「……………」
「忍くんまで……忍くんまでいなくなっちゃったら、私…っ」
その時、さっきまで優しかった忍くんの手が。
力強く、ガッと私の両肩を掴んだ。
顔のすぐ側で彼の荒い息遣いを感じ、私はぐっと息を止めた。
「俺は……兄貴じゃない!!」
「……………」
部屋中に響き渡るような───雨の音さえ掻き消すような彼のそんな大声を初めて聞いて。
逆に酷く高揚していた私の気持ちが、スッと下がっていくように感じた。
彼の気配に目を凝らし、ヒクッと喉を詰まらせる。
「俺は今、ちゃんと真白さんの目の前にいるだろ!」
「……………」
「生きて、こうして、真白さんに触ること、できてるだろ!」
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