cinque-2

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忍くんの大声に毒気を抜かれたのか、私の体はいつしか震えが止まっていたけれど。 代わりに私の肩を掴む忍くんの手が、小刻みに震えているようだった。 私みたいに恐怖で震えているんじゃなくて……。 悔しくて堪らない───。 そんな感じだった。 「真白さんは……一人で色んなもの、抱え込み過ぎだよ……」 ふわっと彼の前髪が、私の鼻先に触れる。 彼が項垂れたのだと、私は瞬時に悟った。 ポロポロポロポロと、涙が頬を転がり落ちる。 「………忍……くん……」 嗚咽混じりに呟きながら、私はゆっくり手を伸ばして彼の胸元を握った。 「忍くん……忍くん……」 「…………っ」 確かめるように何度も彼の名を口にすると。 忍くんは私の後頭部に手を回し、優しく自分の胸に体を引き寄せてくれた。 そうして私の髪に顔を埋める。 「俺は、いなくならないから」 「……………」 「────絶対に。約束する」 そう言った忍くんの顔は見えなかったけれど。 ………その声は、涙を含んだように震えていた。  
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