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「……ご、ごめん!」
「い、いえ、こっちこそ!」
バッと体を離し、私と忍くんはソファーの端と端に飛び退いた。
ドクドクドク、と心臓がうるさくて、私は忍くんに背を向けながら両手で頬を押さえる。
恥ずかしくて……顔が熱い。
しかも何も考えずに泣きじゃくっちゃったから、多分メイクなんか全部落ちちゃってる。
恥ずかしさも相俟って、すぐには顔を見られたくなくて、私はバッグを手にしてパッと立ち上がった。
「あ、あの……お手洗い、借りるね」
「あ……うん」
深く俯き、忍くんに顔を見られないようにして私はトイレへと小走りで向かった。
洗面所の鏡で改めて自分の顔を見て、ゾッとする。
目はウサギみたいに真っ赤で、私にしては頑張ったアイメイクも無惨なものだった。
もしかしたら忍くんの服に、なすりつけてしまったかもしれない……。
「………………」
さっきまでの体勢を思い出して、私の顔がカーッと熱くなった。
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