cinque-2

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簡単に化粧直しをしてリビングに戻ると、ソファーに座っていた忍くんがふっとこちらを振り返った。 目が合い、私は無意識に入り口のところで足を止める。 忍くんはチラッと目線を私の足元に下げた。 「足……まだ痛む?」 「───え……」 その時になって、私は初めて右膝の痛みが随分とマシになっていることに気が付いた。 自分自身そのことに驚き、つられるように下を向く。 ゆっくりと確かめるように足をさすりながら、私は首を横に振った。 「ううん、大丈夫……」 「………そっか」 ホッとしたように呟き、忍くんは大きく肩で息をついた。 「……………」 その後、しばらく沈黙が流れる。 停電してから何だか色々ありすぎて……すごく気まずい。 ハラちゃんが言う『甘い雰囲気』ってやつに、ちょっとなりかけたし。 そう言えば忍くん……何か言いかけてたような……。  
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