cinque-2

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「やっぱり……車乗るの、まだ怖い?」 私が口を開きかけたところで、忍くんにそう尋ねられた。 ドキッとして、私は窓の外に目を走らせる。 小降りになったとはいえ、依然雨はしとしとと降り続いていた。 胸元でぎゅっと手を握り、私はコクリと頷いた。 「雨の日は、どうしてもまだ乗れないの」 「……………」 「濡れた道路が……怖くて怖くてしょうがないの……」 ライトを反射するアスファルトや、水を滑るタイヤの音。 それらを五感が拾う度、あの日のことを思い出して右膝が疼く。 ましてやそんな日に、車なんて乗れる訳がない。 「ん。……わかった」 「……………」 「じゃあ……歩いて帰れる?」 忍くんは、すごく優しくそう聞いてくれた。 本当に私のことを心配してくれてるんだ、って思ったら、何だかまた泣きそうになってしまって。 もっと忍くんと一緒にいたい…って。 ────そう、思ってしまった。 「…………泊まっていこうかな」 半分冗談、半分本気で、ポツリと言葉を漏らすと。 忍くんは唖然としたように、私の顔を見上げた。  
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