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(う……うわあ~~~)
カアッと顔が熱くなって、私は両手で頬を押さえて忍くんから目を逸らした。
正直、そんなことは1ミリも考えていなかった。
ただ、このまま別れるともうあと1週間も忍くんに会えなくなるって思ったら、もうちょっと一緒にいたいって思って……。
明日は昼から出勤だし、今から帰るのが少し面倒くさかったって言うのもあるけど……。
でも本当は、冗談でもこんなこと、軽はずみに口にするべきじゃなかったんだ。
………どうしよう。
忍くんに、軽い女って思われちゃったかな……。
「………………」
指の隙間からチラリと忍くんの方を窺うと、忍くんはいつの間にか私に背を向けてしまっていた。
そこからは、彼がどんな表情をしているのかはわからなくて……。
私は自分が考えなしに言ってしまった言葉を、この時猛烈に後悔していた。
独り暮らしの男の家に行くなんて軽率だって言ったハラちゃんに、忍くんには性欲なんかないと思うって、私は一笑に付してしまったけど。
………でも、そうだよね。
忍くんは───男の人なんだ。
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