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「だ、大丈夫。……びっくりしただけ」
「雷、平気?」
「………うん」
「暗いのも?」
まるで子供に尋ねるように、忍くんは一つずつそう聞いてくれた。
私はコクリと頷く。
少しずつ暗さに慣れてきた目に、忍くんが淡く微笑むのが見えた。
その笑顔が何だか物凄く頼もしく見えて、私は心からホッとする。
肩の力が抜けたのが伝わったのか、彼はゆっくりと私から手を離した。
「復旧まで、時間かかるかな」
ポケットに入れていた携帯を開きながら、忍くんが呟いた。
なんとなく窓の外に目を向ける。
雷はさっき落ちたのがピークだったみたいだけど、雨はまだ変わらず強いようだった。
「どうだろうね……」
「あんま長いと困るな……。冷蔵庫の中身がヤバい」
時間を確認しただけなのか、忍くんは溜め息をつきながらパチンと携帯を閉じた。
途端にまた、室内は暗闇に包まれた。
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