cinque-2

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何か喋らないとと思って、話しかけてみる。 声を聞いて、彼との距離感を確かめたかった。 「俺はいいけど……。真白さんは時間大丈夫なの? あんまり遅いと心配するんじゃ……」 「平気。木曜日は遅くなるって言ってるし……」 「────そう」 どこか、ぼんやりとした返事だった。 表情が見えないから、迷惑に思われてるのかどうかさえもわからない。 ………まぁ、忍くんの場合、表情が見えたとしても何考えてるかよくわかんないんだけどね。 「………………」 さっきは有り難いと思った雨の音が、今はひどく耳障りだった。 だからって、また忍くんに何か喋って、とは言えなかった。 また透さんの話になるのが怖かったし、今その話をされたら、いっぱいになったダムが今度こそ決壊してしまうような気がしたから。  
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