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ソファーの上に、膝を抱えて丸くなる。
もう少しここにいていい?って聞いたものの……。
電気も点かないんじゃ、することもないよね。
「─────真白さん」
一人であれこれ考えていると、目の前で突然名前を呼ばれた。
私は弾かれたように顔を上げる。
「………いるよね? 真白さん」
「………………」
まるで私を探すような、少し不安げな声だった。
そんな忍くんの声を聞いて、私は思わず言葉に詰まる。
『真白さんは───遠い人』
さっき彼に言われた言葉が頭を掠めた。
それと同時に、私は何だか凄く哀しくなってしまった。
忍くんにとって……私ってそんなに遠いのかな。
こんなに近くにいるのに、視界が閉ざされただけで雨の音に気配が消されてしまうほど……遠く感じるのかな。
それでも手を伸ばして……探そうとはしてくれないんだね。
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