cinque-2

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予想外に彼が近くにいたこと、そしてその台詞に、私の心臓はドクン!と大きく脈打った。 「…………っ」 息がかかった耳をバッと押さえ、とっさに身を引く。 さ、触る……? 触るって……何!? 私の焦りが伝わったのか、忍くんの気配がサッと遠退いた。 「あ、っごめん、変な意味じゃなくて…っ」 「……………」 「その……髪……触ってもいいかな…って」 しどろもどろな口調から、忍くんの動揺が伝わってくる。 弾む胸を押さえて、私は声のした方向に彼の気配を探った。 「え、か、髪……?」 「ん。……高校の時から思ってたんだ。真白さんの髪……キレイだな…って」 唐突な誉め言葉に、私は戸惑いながら自分の髪に触れた。 「そ、そう……かな」 「うん。ふわふわしてて、柔らかそうだなって。……いつか、触ってみたいなって……思ってた」 ポツリポツリ、と。 忍くんは丁寧に言葉を紡いだ。  
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