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予想外に彼が近くにいたこと、そしてその台詞に、私の心臓はドクン!と大きく脈打った。
「…………っ」
息がかかった耳をバッと押さえ、とっさに身を引く。
さ、触る……?
触るって……何!?
私の焦りが伝わったのか、忍くんの気配がサッと遠退いた。
「あ、っごめん、変な意味じゃなくて…っ」
「……………」
「その……髪……触ってもいいかな…って」
しどろもどろな口調から、忍くんの動揺が伝わってくる。
弾む胸を押さえて、私は声のした方向に彼の気配を探った。
「え、か、髪……?」
「ん。……高校の時から思ってたんだ。真白さんの髪……キレイだな…って」
唐突な誉め言葉に、私は戸惑いながら自分の髪に触れた。
「そ、そう……かな」
「うん。ふわふわしてて、柔らかそうだなって。……いつか、触ってみたいなって……思ってた」
ポツリポツリ、と。
忍くんは丁寧に言葉を紡いだ。
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