400人が本棚に入れています
本棚に追加
「お礼って……今日のご飯自体がいつものドルチェのお礼なのに…。そんなこと言ってたらキリがないよ」
お礼にお礼をして、そのお礼にまたお礼をしてって……。
不毛すぎて、何だか可笑しい。
クスクスと口元を押さえて笑っていると、忍くんはスッと真顔になった。
「いいじゃん別に。キリがなくても」
笑う私とは対照的にすごく真面目な声で忍くんが言ったので、私もつられて笑顔を収めた。
忍くんは、傘を持つ手と逆の手を上着のポケットに突っ込みながら、じっと私の顔を見つめてきた。
「────そしたらずっと、こうして会える」
「…………!!」
ドキッとして、私は息を詰める。
驚いて忍くんの顔を見返すと、忍くんの瞳はとても真剣で……でもどこか切なげな色をたたえているように見えた。
どういう意図で彼がそんなことを言ったのか、私には皆目見当がつかなかった。
木曜日だけ会う今の関係をずっと続けたいってことなのか……。
………それとも。
最初のコメントを投稿しよう!