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その仕草を見て、私は何だか不思議な気持ちになる。 忍くんて……人の目を見て話すのが苦手なのかな。 暗闇の中なら、あんなに大胆なこと言ったりしたり出来るのに……。 その瞬間、先程の一連のことが脳裏に蘇り、私の頬にカッと熱が走った。 (うわ……思い出しちゃった……) 時間にしたら多分 10分もなかったと思うけど、あの停電の中での一時は、恋愛偏差値の低い私の心臓をフル活動させるには充分だった。 特に髪に触られたあの時のことを思い出したら……。 今でもちょっと、心臓がヤバい。 そう言えば忍くん……あの時何か言いかけてたと思うんだけど。 ────何を言おうとしてたんだろう……。 「じゃあまた、次の木曜日」 熱くなった頬を片方だけ押さえて俯いていると、忍くんはそう言ってサッと踵を返しかけた。 私は我に返り、弾かれたように顔を上げる。  
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