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既に食べ終わっていたハラちゃんは、う~んと唸りながら頬杖をついた。
そのままの姿勢でチラッと私の顔を見つめる。
「たとえそうだとしても、いい傾向だとは思うんだけどなぁ」
「え?」
「吊り橋効果だったとしても、久々に男の人にトキめいた訳でしょ? このまま前向きに突っ走ってみてもいいと思うけどね、私は」
急激に食欲が失せ、私は皿に残ったドリアに目を落とした。
昨日の出来事を、ぼんやりと思い返す。
「ホントに……そうなのかなぁ……」
「どういう意味?」
「だって……忍くんは、透さんの弟なんだよ?」
ハラちゃんは返事に窮したように、黙り込んだ。
「多分他の人だったら、私も前向きに考えたかもしれないけど…。でもやっぱり、そこだけは行っちゃダメでしょって思っちゃうし」
「………そぉ? 別に関係ないと思うけどな」
「……………」
ハラちゃんの言葉を聞いて、私はそっと苦笑を浮かべた。
昨日痛んだ右膝を、無意識にスカートの上からさする。
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