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忍くんに、惹かれ始めている。
それはもう間違えようのない事実で。
でも、認めるのが怖かった。
認めてしまったら──他の人を好きになってしまったら、透さんの存在そのものがなかったことになってしまいそうで……。
一人生き残った私だけが、恋なんてしていいはずないって……言い聞かせてた。
でも……気持ちって、ホントに理屈じゃなくて。
頭でどんなにブレーキかけようとしても
、忍くんに惹かれていく気持ちは止められなくて……。
「…………ありがと、ハラちゃん」
少しだけ気持ちの落ち着いた私は、ハンカチを取り出して目元を拭った。
グズグズと鼻を啜る私を見て、ハラちゃんは苦笑する。
「やーっと素直になったね、真白」
「………ごめん。こんなとこで。みっともないよね」
「んーん。どっか冷めきってたあんたしか知らないから、かえって新鮮」
からかうように言われてカッと顔を赤らめると、ハラちゃんは意味ありげにニッと笑った。
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