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『…………はぁ』
一向に止みそうもない雨をぼんやりと見つめ、私はもう一度溜め息をついた。
今から本屋さんにでも行って、時間潰そうかな……。
一時間ぐらいで止んでくれたらいいんだけど……。
アンニュイな気持ちで携帯を鞄に仕舞いかけたその時、手の中で突然着メロが鳴り出した。
驚いて私は画面を見つめる。
透さんからの電話だった。
『………もしもし?』
『もしもし、真白?』
透さんの声を聞いて、落ちていた気持ちが一気に上がる。
嬉しくて、私は強く携帯を耳に押し当てた。
『うん、どうしたの?』
『今ってまだ、駅にいる?』
『え、うん。いるよ、ロータリーのとこ』
『ホントに? じゃあ、そのままそこで待っといて』
迎えに来てくれるんだ、と思ってパッと笑顔になった次の瞬間。
透さんは、全く予想外のことを口にした。
『今、忍に電話して、そっちに迎えに行くように言ったから』
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