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一瞬意味がわからなくて、私はポカンと口を開ける。
え。……なんでここで、忍くんの名前が出てくるんだろう。
『もしもし、真白?』
私が返事をしないので、透さんは怪訝そうに私の名前を呼んだ。
私はハッと我に返る。
『え、あ。……はい』
『だから、そのままそこで待っといて。忍がそっちに迎えに行くから』
ようやく意味を理解した私は、その場で思いっきりぶんぶんと首を横に振った。
『な、なんで忍くんが…!?』
『いや、だって。ちょうどあいつの学校の最寄り駅だし』
『そ、そりゃそうだけど……。いいよ、悪いよ、忍くんだって迷惑だろうし』
『そんなことないよ。あっさり承諾したし。今バスだけど、もうすぐ駅に着くってさ。傘も持ってるって』
『いや、でも。……ホントに悪いからっ』
『大丈夫だって。──あ、ごめん、もう行かなきゃ。悪い、切るね』
『あっ、透さ……っ』
殆ど私の話を聞かず、透さんはプツッと電話を切ってしまった。
よっぽど急いでいたのだろう。
こんな慌ただしい対応は初めてだった。
(う、嘘でしょーっ! 忍くんと二人で一体何を話したらいいのよーっ!!)
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