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何かを思い出すように、本田さんは少し遠い目になった。
「だからちょっと、真白ちゃんに興味が湧いたんだよ。……女の影とか全然なかったのに、あいつすげー真白ちゃんのこと大事にしてるみたいだったから」
私はぼんやりと前方を見つめる。
古川さんに言われた言葉が、ふと脳裏をよぎった。
「大事にっていうか……気を使われてるだけなんじゃないですか。……私なんかより、古川さんの方がよっぽど忍くんと仲いいと思いますけど」
「……ははっ。心配しなくても、忍は萌のこと全く眼中にねーよ。もちろん妹みたいに可愛いとは思ってるかもしんねーけど。……そもそもあいつ、萌の気持ち気付いてねーしな」
本田さんは私を振り返り、可笑しそうに肩を揺すってクスクス笑った。
「店で気付いてねーの、忍だけ」
「……………」
それを聞いて私は、ああ、やっぱりか、と妙に納得してしまった。
何て言うか……凄く忍くんらしいな…って。
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