sette

10/22
前へ
/22ページ
次へ
何かを思い出すように、本田さんは少し遠い目になった。 「だからちょっと、真白ちゃんに興味が湧いたんだよ。……女の影とか全然なかったのに、あいつすげー真白ちゃんのこと大事にしてるみたいだったから」 私はぼんやりと前方を見つめる。 古川さんに言われた言葉が、ふと脳裏をよぎった。 「大事にっていうか……気を使われてるだけなんじゃないですか。……私なんかより、古川さんの方がよっぽど忍くんと仲いいと思いますけど」 「……ははっ。心配しなくても、忍は萌のこと全く眼中にねーよ。もちろん妹みたいに可愛いとは思ってるかもしんねーけど。……そもそもあいつ、萌の気持ち気付いてねーしな」 本田さんは私を振り返り、可笑しそうに肩を揺すってクスクス笑った。 「店で気付いてねーの、忍だけ」 「……………」 それを聞いて私は、ああ、やっぱりか、と妙に納得してしまった。 何て言うか……凄く忍くんらしいな…って。  
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

289人が本棚に入れています
本棚に追加