sette

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それからしばらく歩き、家のすぐ手前の辻まで来て私は足を止めた。 それに気付いた本田さんも、歩みを止めてこちらを振り返った。 「あの……。もう家、すぐそこなので。ここで結構です」 ペコリと頭を下げると、本田さんはポケットに手を突っ込んだまま体ごと私に向き直った。 「そ。わかった」 「……はい。……それじゃ」 「あー…。改めて、なんかごめんね? 嫌な思いさせちゃって」 「……………」 「萌の態度も露骨だったからなぁ…。いや、身内の贔屓目なしで、普段はホント明るくていい奴なんだよ。……まぁ、思わぬライバル登場に、敵意剥き出しになっちゃった感じ?」 何も答えられず、私は唇を噛み締める。 根っからの負けず嫌いのせいか、不可抗力とはいえ、この人に涙を見られたことが堪らなく悔しかった。 「………あ、そうだ」 その時、踵を返しかけていた本田さんが再び足を止めてこちらに向き直った。  
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