sette

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かなり落ち込んだ様子の忍くんの声を聞いて、私はそっと苦笑した。 「忍くんが悪いんじゃないんだから、気にしないで。職場の先輩に強く言えないの、わかるし」 『………でも』 「ホントに。もう謝らないで」 ………そんなに謝られたら、かえっていたたまれなくなる。 私だってあからさまに不機嫌な態度とっちゃったり……今思い返せばかなり大人げなかった。 透さんのことあんな風に言われてカチンときて……3つも年下の古川さんのこと睨み付けちゃったし……。 「……………」 古川さんのあの可愛い顔を思い出し、私の胸がチクッと痛んだ。 ぎゅっと強くスマホを握りしめる。 「………今、古川さんと一緒なの?」 『え、萌?』 思わずのように尋ねると、忍くんのキョトンとした声が返ってきた。 『いや、家まで送ってさっき別れたよ。あいつん家、店のすぐ側ですげー近いんだ』 「………そう」 『うん。だから今は一人で家に向かってる』 一緒にいないと聞いてホッとしたけど……よく考えたら当たり前か。 あの古川さんが、自分と一緒の時に私に電話なんかかけさせる訳ないもんね。 「……………」 別れ際、忍くんの腕に絡み付いて挑戦的に笑った古川さんの顔が蘇ってきて、空腹でお酒を飲んだ時のようなムカムカが胸に突き上げてきた。  
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