sette

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一瞬……忍くんが泣いてるのかと思ってドキリとしたけど。 次に返ってきたのは、明るい声だった。 『じゃあまた……火曜日に』 「あ、あ……うん」 私はハッと電話に意識を集中させる。 「………早く家入って。ちゃんと温まってね」 つい説教くさい口調でそう言うと。 忍くんはクスッと小さく笑った。 『………はは。……なんか、おふくろみてぇ』 ────懐かしむような。 少し寂しそうな声を聞いて、私は言葉を詰まらせた。 再会してからただの一度も忍くんは私に弱いところなんて見せなかったけど。 たった25才で家族をみんな亡くした彼の寂しさは察するに余りあって……。 今、その寂しさが少し溢れてしまったような……そんな感じがした。 私の顔を見ていないからこそ出せた、弱い部分だったんじゃないか…って。  
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