sette

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「…………っ」 弾みで私は勢いよく振り返る。 振り返った先には、驚いた顔で私を見下ろしている本田さんの姿があった。 一拍の間、無言で見つめ合う。 「……………」 ────何故この人は、こんなに驚いた顔をしているんだろう。 そう思った瞬間ゆるい風が吹き、私の頬を撫でた。 ヒヤリと頬が冷たくて、私は慌てて指で目元に触れる。 そこで初めて、堪えきれずに泣いていたことに私は気が付いた。 「……あー…。なんか、ごめん」 今まで飄々としていた本田さんが、私の涙を見て初めて動揺した様子を見せた。 私の肩を掴んでいた手を離し、その手で困ったように頭を掻く。 「ちょっと真白ちゃんと二人で話したいなって思っただけなんだけど……。やり方悪かったな」 「……………」 「………ごめん」 私は手の甲で涙を拭い、何も答えずに再び踵を返して歩き始めた。 初対面の人に涙を見られたことが恥ずかしくて……何故か妙に悔しかった。  
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