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今度は逆に、私が彼の後をついて歩くような形となる。
本田さんは笑いながら、肩越しに私を振り返った。
「感じたことない?」
「………ありません」
キッパリと答え、私は首を横に振った。
「私と忍くんは……そういう関係じゃありませんから。さっき忍くんが説明した通り、私は彼のお兄さんと昔付き合ってたってだけで……。その頃も忍くんと特別親しかった訳じゃないし、ホントについこの間、偶然再会しただけなので……」
「………ふぅん?」
本田さんは歩きながら、不思議そうに相槌を打った。
「まぁ、その辺の詳しい事情は俺は知らないけどね。お母さんが亡くなった時に、実は昔事故でお兄さんも亡くしてるってチラッと聞いたことあるだけで……」
「……………」
「ほら、あいつあんま自分のことベラベラ喋るタイプじゃないじゃん。無表情だしさ。だから始めは結構職場でも浮いてたんだよ。最近になってようやく打ち解けてきた感じだけど」
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