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ひとしきり笑った後、先輩はひーひー言いながら涙を拭った。
「いや、俺先輩だよ?遠慮しないの?」
「これでも精一杯遠慮しました!」
「ブフォッッッ」
またかよ!でらうぜえ!!
肩を小刻みに揺らし、時折進む足が止まる。
先輩は少し呼吸を整えてから、涙目でゆるゆるの顔を私に向ける。
やだ、ちょっと可愛い。
「ほんとに、もう…」
ひーひー言いながら私を優しい目で見る。
なんだかこそばゆい。
て言うか恥ずかしい!!
「先輩、その目やめてください!!」
ぶんぶんと手を顔の前で振る。
先輩はキョトンと目を丸くする。
「えっ、目?」
「あ、もう大丈夫です」
キョトンとした瞬間に、甘くとろけそうな程のあの“目”は姿を隠した。
「変なやつだなー」
あなたも相当変なやつですよ、とは言わない代わりににこりと笑う。
「先輩、マジうぜえ(そんなことないですよ~)」
「あの…本音と建前…」
「あっ、すいません。つい…」
「つい!!!!!?」
しまった、つい本音がポロリと…
チッと軽く舌打ちをする。
「柚姫ぃ~ここにいるの先輩だよ?コロッケあげた先輩だよ?ねえ聞いてる?」
今ここにいる人が社長じゃなくて良かった…。
先輩の声を雑音程度に聞き流しながら、身震いする。
きっとこんなこと言ったら冗談抜きで殺される。
お得意の孫の手で。
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