プロローグ

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都会のビル群から少し離れた坂道が辛いオフィス街。 そこの長い坂道を半分程登った一角に、ちまたで噂の探偵事務所がある。 外見は赤レンガ、使うことはなさそうな煙突、インターホンの代わりに呼び鈴がついているヨーロッパ圏にありそうなゴツい玄関扉。 その家の塀に貼り付けられた、防水シートが施されてあるチラシ。 そのチラシを一人の男性が目をそらさずジッと見つめている。 『案件により1000円から伺います。 ストーカー被害、SP護衛、お留守番、迷い猫探し、家事代行、心霊現象、謎解き、なんでも構いません。 ご相談いつでもやってます! open10:00~close20:00 ○月、火、木、金、土 ×水、日 ※スタッフが少ないため、留守にすることがしばしばございます。 こちらに足をお運びになさる前に、お電話をいただければ確実に対応いたします。 080-××90-5678 スタッフ一同、心よりお待ちしております』 そしてこれを百面相しながら読んでいた中年男性が、戸惑いながらもその重そうな扉を開く。 「あのぉ…すいませーん」 男性の不安そうな声をかき消すように、明るい女の子の声が響き渡った。 「はーい!!こんにちは!!『櫻宮探偵事務所』へようこそ!!あなたのお悩み、解決します!!」
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