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坂道が終り、渋々ペダルに力を込める。
それでもまだスピードのお陰でペダルが軽い。
あーーーー!!この時間に自転車走らせるなんて爽快すぎるっ!!
坂を下ってるときなんて、叫びたくなったくらいだ。
「あ~ーーーーーっ!!!!」って。
今日は神様が私にお休みをくれたんだ。
神様最高。
そのまましばらく進むと、学園通りに入った。
私の通う川嶌大学は私立のなかでも有名なマンモス校で、実に様々な学科と生徒がいる。
そしてなにより
「おっ、柚ちゃん柚ちゃん!今コロッケ揚がったところだよ!!」
通りの総菜屋から明るい顔馴染みになったおばちゃんの声が飛んでくる。
「本当!?」
私は急ブレーキを掛けて、通りの総菜屋に自転車をとめる。
「はい、いつもごひいきにしてくれてるからおまけだよ」
おばちゃんがウィンクを飛ばし、熱々のまだ湯気が出ているコロッケを2つ、紙袋に入れてくれた。
「いいの?!ありがとう!!」
「はいよ!また来てね~」
私はお金を払い、店先で我慢できずに一口かじった。
ジャクッと揚げ立てならではの衣の食感が広がり、中から熱々のゴロゴロとしたじゃがいもが顔をのぞかした。
あまりにも熱くて、はふはふと必死に空気を出し入れする。
おばちゃんが声を立てて笑い始めた。
「柚ちゃんそんな急がなくてもコロッケは逃げないよ!」
そう、そしてなにより食べ物がものすごく美味しい。
そして私はここのコロッケが一番好き。
「だってふごく美味ひい!!」
じゃがいもがホクホクと、ねっとりしていて、少なすぎず多すぎずの挽き肉が入っている。
じゃがいもの甘みと、下味のついた挽き肉が何とも言えない旨さをお互いが引き出しているのだ。
「火傷しちゃうから、ゆっくり食べなさい」
おばちゃんがにこにこしながら私をなだめる。
私は今度はゆっくりと、衣の食感を楽しみながら、コロッケを噛み締める。
やっぱり美味しいよおおお
顔がにやけてしまう。
すると突然耳元で声が聞こえた。
「そんなにここのコロッケ美味しいのか?」
ビクッッッと体を仰け反らせる。
えっ
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