otto

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「遊びとかそういうつもりならマジでやめてください。真白さん、そういう人じゃないんで」 「は? そういうって何だよ」 「だから、あの人は……あの人はそういう、本田さんみたいに軽いノリで付き合ったりとか出来ない人なんです」 忍くんは物凄く慎重に、言葉を選んでいるようだった。 二人の表情は見えないけれど、ピンと空気が張り詰めているのがわかる。 しばらくして、本田さんがハアッと大きな溜め息をついた。 「………お前さ。真白ちゃんの何な訳? そんなこと言う権利、お前にあんの?」 「……………」 「ただ単に、彼女の元カレの弟ってだけの関係なんだろ? しかも再会してまだ1ヶ月だっけ。それで真白ちゃんの何をどれだけ知ってるって言うんだよ」 ポンポンと言葉を重ねる本田さんに、元々あまり喋る方じゃない忍くんはすぐに返事を返すことが出来ないようだった。 険悪な雰囲気に、私は出るに出られなくなる。 ただじっと息を潜めて、ハラハラしながら二人の会話を聞いているしかなかった。  
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