otto-2

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「コンペが終わってからも、木曜日……真白さんにここに来てほしいんだ」 「────……」 「それで、もっともっと、俺の作ったドルチェ、食べてほしい」 最後は息を吐き出すように、忍くんは一気にそう口にした。 息を止めたまま、私は忍くんの顔を見つめ返す。 コンペが終わってからも……ここに来てほしい。 今、間違いなく、忍くんそう言ったよね……? 聞き間違いじゃ……ないよね? 「…………っ」 苦しくなって初めて、私は自分が呼吸をしていなかったことに気が付いた。 胸を押さえ、ゆっくりと息を吸う。 私が何も答えないので、忍くんの顔にじわじわと不安のような色が広がった。 「あの、もちろん今までみたいに毎週とかじゃなくてもいいから。……真白さんの都合のいい時だけでも、いいんで……」 「……………」 「どんな形であれ、再会して繋がった縁だし……。このまま会えなくなるのは、寂しいな、と……思って」 徐々に忍くんの声は小さくなっていき、とうとうそこで完全に彼は口を噤んでしまった。  
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