otto-2

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「あ、やっべ。またお湯減ってきた」 忍くんの声に私はハッと現実に引き戻され。 真っ白だった世界が、あっという間に元の風景に舞い戻った。 「とりあえず食べよ、真白さん」 「………あ、あ……うん」 笑顔で言う忍くんに、私はぼんやりとした返事を返した。 それからのお鍋の味は、ほとんど覚えていない。 本田さんには悪いけど、グラム600円のお肉の味もただの食材の一つとして私の喉を通りすぎていっただけだった。 「……………」 思わぬ形で、忍くんへの気持ちを自覚してしまい。 内心で私は、酷く動揺していた。 透さん以外の男性を好きになる。 2ヶ月前まではそんなこと、想像すらしていなかった。 そもそも恋愛なんて一生する気はなかったし……。 ましてやその相手が、まさか透さんの弟の忍くんだなんて──…。 この恋愛感情は。 成就させたいって、ホントに願っていいものなんだろうか……。  
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