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「ご馳走さまでした」
しめのうどんまできっちり食べ終わり、私達は同時に手を合わせて軽く一礼をした。
ドルチェの味をちゃんと堪能したいから、お酒は控えめにしたんだけど。
気持ちを自覚した今、何だか少し居心地が悪くて。
ちょっとぐらいは酔って、気を紛らわしたいというのが本音だった。
「どうする? もうドルチェ、食べる?」
足を崩した忍くんが、床に両手をつきながらそう聞いてきた。
私はお腹をさすって、少し考え込む。
「お腹はいっぱい、だけど……」
「………うん」
「甘いものは別腹、かな」
そう答えると、忍くんはクスッと笑った。
「じゃあ、さっさとここ片付けてドルチェの用意しよっか」
「…………ん」
それを合図に、私達はお皿を手にして立ち上がった。
シンクの前に並んで立ち、一緒にお皿を洗い始める。
すぐ横に忍くんの体温を感じて、何故だか妙に胸がドキドキした。
────それはとても、懐かしい感覚。
まだ透さんと付き合う前、図書館での僅かなひと時。
長椅子に座って隣でコーヒーを啜る透さんの体温に、ずっとドキドキしてた。
それを思い出して、急激に胸が締め付けられて。
本当に私は忍くんに恋をしたんだなぁ…って。
改めてそう、実感していた。
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