otto-2

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「この植物は飾り?」 「ああ、うん。ディルっていう植物。食べにくかったら横にどけて」 「ん。……あ、このジェラートもチーズだ!」 「そう、パンケーキと同じクリームチーズ」 一口食べるごとにいちいちうるさく声を上げる私に、忍くんは真剣な顔で一つずつ丁寧に説明してくれた。 前回はあれこれ聞きたいことがあってもその場で聞けなかったから、今日は納得しながら味わうことができて。 何より私が感想を言う度に、忍くんが嬉しそうな顔をしたり真面目な顔になったり……そんな素直な彼の表情を目の前で見られることが、ホントに幸せだった。 「────ご馳走さま」 全てを食べ終えて。 私はおもむろに、フォークをテーブルに置いた。 口に残った甘さを、紅茶でゆっくりと喉の奥に流し込む。 「………どうだった?」 さっきよりも一段と真剣な顔で、忍くんはグイッと前のめりに身を乗り出してきた。 私はハンカチで口元を押さえながら、チラリと忍くんの顔を見上げた。  
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