otto-2

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からかうような言い方に、私はムッと忍くんの顔を見返す。 「………どういう意味」 「だって、彼氏の前で手で食べるのは抵抗ある、とかさ。すげー女子の意見ぽい」 「それって、バカにしてない? ずっと彼氏いなかったくせに、そういうこと思い付くんだって」 「え、なんでそうなんの。誉めてんのに」 「嘘。そんな言い方じゃなかったもん。確かに私は恋愛経験少ないけど……」 そこで私はハッと口を噤んだ。 なんかこのやり取り……すごくデジャヴュっていうか。 この前の口喧嘩の時みたいじゃない……? あの時も恋愛経験がどうのこうのって話になって──。 それで忍くんに、あの台詞を言われたんだった。 「……………」 急に押し黙ってしまった私を見て、忍くんは一瞬不思議そうな顔をしていたけど。 すぐに思い当たったのか、「あ……」と呟いて、途端にどこかバツの悪そうな表情を浮かべた。  
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