nove

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「……っ、離して!」 「待って真白さん! なんで帰んの?」 「もうドルチェ食べたし、用は済んだでしょ!」 揉み合うような形になり、私の手からコートもバッグもまとめて廊下に落ちてしまう。 忍くんは持て余したように、私の手首を掴んだ。 「………真白さん……」 困ったような彼の声に妙に苛立ち、私はキッと強く忍くんの顔を睨み付けた。 「どうして!?」 「え?」 「どうしてこんなの、預かってくるの!?」 「……………」 「こんなの渡せないって、どうして断ってくれなかったの!?」 「────断ったよ!!」 急に声を荒げられて、私はヒクッと喉を詰まらせる。 私の手首を掴む忍くんの手に、ギリッと力がこもった。 「断ったに、決まってるだろ……」 「……………」 「そんなの俺は渡したくないってちゃんと言ったよ! ……でも」 そこで忍くんは、悔しそうにぎゅっと目を瞑った。 「真白さんの気持ちも聞かないで、お前の独断で断る権利なんかあんのかって、言われて……」 「……………」 「………真白さんの未来を、お前が勝手に決めんなっ……て」  
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