nove

18/21
310人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「…………ごめん」 ポツリと呟いた後、忍くんは下げた手を強く握りしめた。 その拳は少し震えていて……。 私は何がなんだか、わからなくなる。 「………なんで……謝るの?」 気持ちの振り幅についていけなくて、私は思わずそう聞いてしまっていた。 だって……何で謝るの? 私はもっともっと、忍くんに触れてほしいって思ってるのに。 もっともっと、近付きたいって思ってるのに。 それなのに何で……。 そんな顔して、まるで悪いことしたみたいに謝るの……? 「────先に俺、真白さんに言わなきゃいけないことがあるんだ……」 「……………」 「それ言う前に真白さんに触るのは……ダメだから……」 そう言うと忍くんは、深く俯きながらデニムのポケットに手を突っ込んだ。 意味がわからなくてただじっと彼の所作を見守っていると。 忍くんは俯いたまま、何やら小さな紙切れを私に差し出した。 「────これ、本田さんの連絡先」 「……………」 「渡してほしいって……頼まれた」  
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!